1. 勝どき橋
隅田川の下流に架かる勝どき橋は1940年(昭和15年)6月14日に完成しました。月島と築地間の交通や、晴海・豊洲地区の開発のために、当時では東洋一の規模を誇る橋長246mの日本初の両開きの跳ね橋(跳開橋)が建造されました。この頃の隅田川上流の両岸には造船所や倉庫が建ち並び、行き来する大型船を通す必要があったため跳開橋となりました。実はこの年は、日本建国2600年の節目にあたり、日本の国家プロジェクトとして、アジア初となるオリンピックと万国博覧会の開催が決まっており、各国から船で訪れる人々を歓迎するメインゲートとしての役割も担っていました。しかし、日中戦争の影響を受けて、この2つの国際イベントは中止となりました。
当時の勝どき橋は、1日に5回、最盛期には7回、20分ずつ、中央部の約50mの可動部分が両側に最大約70度まで跳ね上がり、70秒で「ハ」の字に開いていました。橋の上には路面電車用のレールが通っており、1947年(昭和22年)から1968年(昭和43年)までは都電が通行していました。しかし、戦後は橋の上の交通量が増し、船舶の通行量は減少していったので、1970年(昭和45年)11月29日を最後に閉開が停止となりました。
その後も勝どき橋は人々に愛され続け、1998年(平成10年)夜間のライトアップが始まり、2005年(平成17年)「かちどき橋の資料館」が開館、定期的に橋脚内見学ツアーも行われ、勝どき橋についての情報を得ることができるようになりました。そして2007年6月18日、同じ隅田川に架かる清洲橋、永代橋とともに価値のある橋梁として国の重要文化財に指定され、2017年には機械遺産にも認定されました。橋の下の遊歩道もとても気持ちが良いので、ぜひお散歩しながら当時の人々に思いを馳せてみてください。
関連サイト | 所在地 |
勝鬨橋/東京の観光公式サイトGO TOKYO | 〒104-0045 東京都中央区築地築地6丁目/勝どき1丁目 |
2. 築地本願寺
築地本願寺は、1617年(元和3年)京都の西本願寺の別院として浅草に創建された「浅草御堂」に始まります。1657年に起こった明暦の大火により本堂を焼失しますが、江戸幕府から再建場所として現在の場所を寄進され、当時はまだ海だったこの場所を埋め立て新たな寺院「築地御坊」が再建されました。新たな地を築いたということに由来し「築地」という地名が付けられたといわれています。
1923年(大正12年)関東大震災による火災で再び焼失し、1934年(昭和9年)に再建され現在の姿になりました。設計は、当時の浄土真宗本願寺派法主の大谷光瑞と親交のあった東京帝国大学工学部名誉教授・伊藤忠太氏によるもので、国の重要文化財に指定されています。伊藤氏はこの築地本願寺の設計に当たって、仏教発祥の地であるインドをモチーフとしました。
そして創建から400年を迎えた2017年には、境内が整備され、カフェやブックセンター、合同墓などが新たに建設されました。
本堂正面にある階段の手すりから、翼の生えた獅子の像が参拝者を迎えてくれます。ほかにも本堂の中には様々な動物の像を見つけることができますが、これは幻獣や妖怪なども取り入れる伊東氏の独特の手法で、13種もの動物像が隠されているそうです。
そして階段を上ると入口の扉の上部にはとても美しい蓮のステンドグラスが施されています。本堂の中にはステンドグラスやタイル張りの床、パイプオルガンなどが配置されており、ついカメラを向けてしまいたくなるスポットがたくさんあります。本堂に入るとすぐに焼香台があり、焼香作法の説明書きがあります。休日は長い列ができているときもありますが、すぐに順番がまわってくるのでぜひお参りしてみてください。
浄土真宗はおみくじや御朱印やお守りなどがありませんが、敷地内のショップで築地本願寺にちなんだお土産が販売されているので、記念に探してみるのも良いかもしれません。大勢の人が観光を楽しんでいますが、それでものんびりと過ごすことができ、癒されるスポットです◎
公式サイト | 所在地 |
築地本願寺 | 〒104-8435 東京都中央区築地3-15-1 |
3. 歌舞伎座
1889年(明治22年)に開場した日本の伝統芸能「歌舞伎」を鑑賞できる歌舞伎座。2013年に建て直された第5期にあたる現在の建物は、新たに歌舞伎座タワーが併設されました。歌舞伎座と調和するように壁面を漆喰のイメージでデザインされ日本建築の捻子連子格子(ねりこれんじごううし)をモチーフにしたという地上29階建てのオフィスビルが歌舞伎座の後ろ側に配置されています。とても華やかで、銀座でもひときわ目立つ美しい建物です。
歌舞伎座には、劇場に入らなくても楽しめるスポットがたくさんあります。
1階の建物の正面向かって右側にある「歌舞伎稲荷神社」は銀座を含む地域の氏神であり、歌舞伎で大切にされている神社で、歌舞伎興行の初日と千穐楽には、奉告祭が執り行われます。2013年に建て直されたタイミングで一般の人もお参りできるようになりました。その神社の後ろ側には「お土産処木挽町」があり、小物やお菓子など歌舞伎にちなんだお土産がたくさん並んでいて、一風変わった東京のお土産にぴったりです。さらに神社の左側にある「歌舞伎座の軌跡」というパネルは、建物の歴史などが簡単にまとめられているのでぜひ目を通してみてください。そして、建物の正面向かって左側には、「一幕見席入口」という扉があります。歌舞伎というと少し敷居の高いイメージもありますが、歌舞伎を気軽に楽しみたいときや、時間がないときなどは、一幕見席(ひとまくみせき)もおすすめです。4階の舞台から1番遠い専用席で、歌舞伎座劇場内の売店やレストランを利用することはできませんが、リーズナブルな価格で数ある幕の中から1つ選んで観劇することができます。チケットは、当日10時から切符売り場で販売されるチケットと、最近では前日の12時(正午)からネットで販売されるチケットがあるので、プランに合わせて公式ページをチェックしてみてください。下へ1階降りて、地下の「木挽町広場」にも歌舞伎にちなんだお土産ショップや、お食事処、カフェなどがあり、雰囲気を味わうことができるのでお勧めです◎
地下からエレベーターで、一般公開されている歌舞伎座タワー5階へ行くと、さらに満喫できるスポットがたくさんあります。歌舞伎の魅力をパネルや写真で親しみやすく紹介する「歌舞伎座ギャラリー」や、歌舞伎にまつわる記念碑などがある「屋上庭園」、庭園から朱色の「五右衛門階段」を下ると、歴代の歌舞伎座の建物模型や俳優の肖像や説明が展示された「四階回廊~想い出の歌舞伎座~」があります。また竹に囲まれ、屋上庭園を臨みながらお茶とお菓子を頂けるカフェ「寿月堂」には、テイクアウトできる抹茶ソフトクリームなどもあり、庭園で召し上がる方も見かけました。
公式サイト | 所在地 |
歌舞伎座 | 〒104-0061東京都中央区銀座4-12-15 |
4. ナイルレストラン
昭和通りを挟んで、歌舞伎座の反対側にある一風変わった外観のナイルレストラン。1949年(昭和24年)創業、日本最古のインド料理専門店です。歌舞伎役者さんもご用達ということでTVや雑誌にもよく取り上げられる名店です。創業者のA・M・ナイル氏は、北海道に留学していた兄にすすめられたことをきっかけに来日。その後さまざまな形で日印親善活動を続けていたそうです。店内には、高校在学中からインド独立運動家でもあったというナイル氏の自叙伝も販売されていました。
ランチタイムしか行ったことはありませんが、毎回席に着くなり、店員さんに「ムルギーランチ?」と聞かれます。周りの人も皆さん聞かれていました。お店の看板メニューであるムルギーランチは、骨付きの鶏もも肉、茹でたキャベツ、スパイスが混ざったマッシュポテト、岩手県産のお米をターメリックで炊いたご飯のワンプレートカレー。食べる前に店員さんがお肉をほぐしてくれます。久しぶりに行ったら今回はお肉をほぐす前に「写真は?」と聞かれました。とてもアットホームなお店です。ムルギーランチは具とご飯を全部混ぜて食べるのが基本だそうで、ジューシーなチキンと口当たりの良いマッシュポテト、柔らかいけど少しシャキシャキとしたキャベツに、どちらかというとさらっとしたスパイスのきいたカレー、すべての相性がよく、やみつきになります。ちなみに名前にランチとついていますが、ディナーでも頂くことができるメニューです。
現在は3代目のナイル善巳さんが受け継ぎ、日本で長年愛され続けている伝統の味がまもられています。
公式サイト | 所在地 |
ナイルレストラン | 銀座 | 〒104-0061東京都中央区銀座4-10-7 |
5. 銀座三越
1673年に三井高利が創業した越後屋。屋号は高利の祖父の時代まで「越後守」を名乗る武士であったことから「越後屋」とし、人々からは「越後さんの店」と呼ばれていました。その後三井家の姓を取った「三井呉服店」となり、1904年、「三」と「越」を取って「三越呉服店」となり、現在の「三越」に至ります。
引用元:三越伊勢丹ホールディングス
銀座店のオープンは1930年(昭和5年)。2010年(平成22年)9月には従来の西側店舗と新しい東側店舗が一体となり、売り場面積はこれまでの1.5倍、銀座・有楽町エリアで最大規模のデパートとなりリニューアルオープンしました。4丁目交差点を見つめながら正面入口で迎えてくれる「ライオン像」は、ロンドンのトラファルガー広場の4頭の獅子像がモデルとなっているそうです。三越創業時の支配人である日比翁助の発案で、彼は息子に雷音と名付けるほど無類のライオン好きとして知られていたそうです。
デパートの中は、お買い物やお食事の他にも楽しめるスポットがいくつかあります。まず7階の「銀座シャンデリアスカイ」。ソファやテーブルがあり少し休憩するのにちょうど良いエリアなのですが、1番のおすすめは、こちらの窓からの景色です。銀座の象徴とも言われる「セイコーハウス銀座(旧和光本館)の時計塔」が目の前にそびえ立ちます。8階には2022年にオープンした「アートアクアリウム銀座」があります。日本古来からの金魚鑑賞文化をなんと光・音・香で演出しています。年間を通して鑑賞できる常設展示や、季節ごとに変わる企画展示があり、フラッシュなしの写真撮影が可能で、とても人気のあるスポットです。そして、9階にはお子様連れの方に便利な親子休憩所や、おしゃれなレストラン、そして「銀座テラス」があります。銀座テラスには「三囲神社」と「出世地蔵」が祀られています。出世地蔵は意外と大きくて驚きますが、とてもにこやかで見ているだけでほっこりします。
公式サイト | 所在地 |
銀座三越 | 三越伊勢丹店舗情報 | 〒104-8212 東京都中央区銀座4-6-16 |
まとめ
川の風景から街の風景まで、目的なく歩いていても興味を惹かれる場所に出会えるかもしれない場所です。是非お気に入りの場所を探してみてください!